チューリップ、ラナンキュラス、ヒヤシンス…。
桜の花が咲くと、花市場ではチューリップなどの球根の花が少しずつその数をへらしていきます。本当に花壇でチューリップが咲く頃は、完全にお花屋さんからその姿を消すでしょう。ファッションと同じで、お花の世界も、いつだって季節を先取り、先取り! 本当にその花の季節がやってくると、お花屋さんでの役目がなくなってしまうのかもしれません。
写真のクリスマスローズも球根のお花です。クリスマスローズは球根の花ではありませんでした。失礼しました。でもこのお花は比較的年中花市場へやってくるかな?
個々に微妙に違うその花色と可憐な花姿には人気があります。
私も大好き!
この写真は花壇に咲いていたクリスマスローズを撮影したもの。
さくらの花と同じで、うつむきがちに下を向いて咲くんです。
桜の花を人間は自然に見えあげて愛でられますが、このクリスマスローズのお顔を拝見するには自分も一緒にうつむくか、「こっちをお向きよ〜」といってその顔を少しばかり持ち上げてあげないとなりません。
それが、この花の魅力でもあるのです。
けど、悲しいかな、切り花にすると水が下がりやすい(=元気がなくなりやすい)。
店先でお花を売ることのないFLORA*2では、お箱につめて次の日お届け先様へ届いたときにも元気でいてくれるお花でないとアレンジしてあげられないし、もしかして元気がなくなってしまう?だいじょぶ?だいじょぶ?と心配になるような花はいくら素敵でもよっぽど条件が整わない限り
ウェディングブーケにも入れてあげられないし、
FLORA*2ちいさな花の教室でも最初はクリスマスローズの控えめな愛らしさを知ってもらいたくて生徒さんに生けてもらっていたけれど、「FLORA*2のスタジオではぴんしゃんしていたのに、家に帰ってから元気がなくなってしまった」という生徒さんの声を聞くこともあって考えてしまい、FLORA*2 澤田が愛しているのにスタジオへはほとんどやってこなくなってしまったお花なんです。
でも咲いているクリスマスローズはやっぱり本当に可愛い。
うつむいているこの姿も本当に。
そして、桜のこの季節になると、桜と相反してまったく話題にものぼらないけれど、日の当たる斜面などにはまるで敷き詰めたように咲いている、うすむらさき色の花があります。
この花も大好き!
紫花菜(むらさきはなな)です。
たとえば電車に乗っていて、ときには花手鞠のようにポンポンと満開に咲く染井吉野のそのたもとに、ときには咲き誇っているお日様色の菜の花と一緒に、この紫花菜の花園がある、そんな光景は皆さん絶対目にしたことがあるはず。
雑草だよ、と言われてしまえばそれまでですが、こんな紫色の花って、実はなかなかなくって…。
花市場で見かけることも以前はあったけれど、やっぱり花屋さんはあんまりこの花には手がのびないようです。だって、そこここで咲いてるんですものね。でもそのほうがいいのです。だって、この美しいうすむらさき色の花は絶対に滅びたりしない強い強い花なんだって思うと、その方が嬉しいじゃないですか。
ちなみに、この紫花菜をあまりに愛しすぎてベランダのプランターで育てようとしたことがあります。種、売ってるんですよ。
でも全滅でした。日当たりのよい場所で育てたのに。根をすごくすごく地中深くのばしていく植物なのかもしれません。
だからプランターではうまくいかなかったのかも。
とにかく、野に放たれたような場所でこそ、この紫花菜は輝くのかも。
あ、この紫花菜の写真は、もう9年くらい前にとったもの。
人が絶対入っていかないような空き地に分け入って、腰をまげて目線を紫花菜に合わせて、盛んにデジカメで撮影したものです。
端からみたら、絶対私は不審者でした(笑)。
なんだか懐かしい気持ちです。
* FLORA*2 澤田 *