花時間「春printemps」 "チューリップ「色」コーディネイト術"にて、FLORA*2澤田の作品を掲載いただきました。嬉しいことに今号表紙は、FLORA*2澤田のチューリップアレンジ!ぜひご覧ください。
はじめて花時間さんに、わたくしの作品を掲載いただいたのは、もう10年以上前の話です。正確に覚えていないくらい前になったことに驚きます。たくさんの、たくさんの、本当にたくさんの花たちの一瞬の姿を誌面に掲載いただきました
今あらためて思う事。それは、誌面の 確かにわたくしがアレンジした花達は、わたくしの作品であって、わたくしの作品ではないな、ということです。
たとえば今回表紙に使っていただいたチューリップの作品、わたくしが用意したのはお花と花器だけ。もちろんいけたのはFLORA*2澤田ですが、バックの壁紙のセレクトをしてくれたのはライターの坂本さん、中央のチューリップの花芯の色までみえるように撮影してくださったのはカメラマンの中野先生です。わたくしは、このチューリップの蕊まわりが淡いブルーなので、青いお花を合わせてアレンジしたのです。
チューリップは生産者の方から新鮮なものを送っていただきました。ちょうどこの撮影の時期、いつもは豊富な種類のチューリップが出回る時期なのに、寒すぎた年末のせいなのか、花市場へいってもあまりいろんな種類がなくて、サイズもやけにちいさめで…。ヤキモキしましたが、生産者の方々から送っていただけると分かっているチューリップについては、安心していられました。わたくし一人の力ではこうはいきません。
このチューリップの企画でお世話になったライターの坂本さんは、本当にスタイリングの小物のセンスがよくて、3年前の
お花のクリスマスツリーの撮影でもそうだったのですが、アレンジに添えてくれる小物のすべてがお花を引き立ててくれて、心躍ったのを覚えています。
そして、完成していくお花のアレンジひとつひとつに、フォトスタジオで的確な光を見つけて撮影してくださるカメラマンの先生。お花をアレンジした者には分からない「絵になる」アングルというのがあって、写真として仕上がった花達を見ると、まったく自分の印象とは違うのに、いや、そのほうがずっとお花が生き生きとみえるのです…!
誌面を飾るその1枚の写真は、わたくしの花だけではなりたたず、ライターさん、エディターさん、スタイリストさん、カメラマンの先生、そしてお花を送ってくださった生産者の皆さん、いろんな方たちの力が結集して出来上がるもの。ですから、その1枚の花の写真は、わたくしの作品ではあっても、わたくしの作品ではない。今回花時間さんの表紙にわたくしのアレンジしたチューリップを掲載いただいて、あらためて強くそんなことを思いました。
最後に。
本誌内でもご紹介いただいていますが、この表紙のアレンジの主役はチューリップ"ピンクダイヤモンド"。このチューリップが花ひらくと、その蕊まわりは まるで淡くブルーインクをほんわりにじませたよう。マットなピンクとおもっていたその花の意外な表情にハッとさせられたのは、お花を習い始めた もう20年も昔の話。そんな風にチューリップの中に万華鏡のようなちいさな宇宙が存在するのをわたくしに教えてくれたのは、フラワーアーティストの 高橋永順先生 です。